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毎年、ハロウィーンの季節がくると思いだす。2001年の秋のことを。

pacificmiraclesweb
10月5日
読了時間: 3分

更新日:10月5日


毎年、10月の風が少し冷たくなると、 私はあの年のハロウィーンを思い出す。 2001年の秋。 世界が大きく揺れたあの年のことを。

9月11日の朝、 私と夫は、それぞれの車に荷物を積み込み、 新しい家へ向かっていた。テンポラリーに借りていた貸家から、 ようやく手に入れた自宅への引っ越しの日だった。


私の車の後部座席には、 癌で余命幾ばくもないと告げられたラブラドール、ガぺが静かに横たわっていた。 呼吸はゆっくりで、でも私の方を見て、 「一緒に行くよ」と言っているようだった。


AMラジオから流れてきたニュースは、 現実とは思えないほど突然で、 理解が追いつかなかった。


──ニューヨークのワールド・トレードセンターに飛行機が激突した。


事故だろうか。 何かの故障だろうか。 そんなふうに思いながら、 私はただ、新しい家に着いたらガぺに薬を飲ませなければ、と そのことばかり考えていた。


家に着き、荷物を運び込み、 ガぺに薬を飲ませ、 ようやく落ち着いてテレビをつけたとき、 画面に映った光景は、 世界が変わった瞬間そのものだった。


その日からの1カ月は、 私の心が大きく揺れ続けた日々だった。


ガぺが亡くなり、 涙が止まらない日が続いた。 そしてそのすぐあとに、 代理母のシャナが息子を産んでくれた。 涙がまた溢れた。 悲しみと喜びが、同じ胸の中でぶつかり合っていた。


息子の出産予定日は、 2001年10月31日──ハロウィーンの日だった。 けれど、シャナの出産は2週間ほど早まった。


私は思った。 ガぺが、息子を運んできてくれたのかもしれない、と。


25年が過ぎても、あの秋は胸の奥で静かに息をしている。


私は25年前、代理出産を経験した。 10年近く不妊治療を続け、 IVFを何度も繰り返し、 4度の手術を受け、 それでも授かることができなかった。


最後に選んだのが、代理出産だった。


当時は代理出産の情報も少なく、 私はエージェンシーを使わず、 すべて自分で手続きを進めた。 不安もあったけれど、 それ以上に「家族をつくりたい」という思いが強かった。


そして、 シャナが私たちの息子を産んでくれた。

彼女は自分の子どもたちにこう説明した。


「Kinukoのお腹は壊れていて、赤ちゃんを育てることができないの。 でも、Kinukoは赤ちゃんを望んでいる。 だから、ママのお腹で赤ちゃんを温めて、育ててあげるのよ。」


3歳、5歳、7歳の子どもたちは、 その言葉をそのまま私に伝えてくれた。 その純粋さに、胸がぎゅっとなった。



10月は、私にとって特別な月。


息子は今年25歳になる。 10月18日。 あの日から25年。


そして、 私の母が亡くなったのも10月だった。 2023年10月25日。 母は日本からロサンゼルスに移り住み、 私たち家族と5年間一緒に暮らしてくれた。


母は、私の代理出産の一番の理解者であり、 一番の支えだった。 経済的にも、精神的にも、 母がいなければ私は代理出産を選べなかったかもしれない。


母は、私が母になる道を照らしてくれた人だった。


10月は、 息子の誕生月であり、 母の命日でもある。


嬉しさと寂しさが、 毎年この季節に胸の中で静かに混ざり合う。


ハロウィーンの季節がくると、私は思い出す。


ガぺの温かい体温。 シャナの優しい笑顔。 母の手のぬくもり。 そして、 生まれたばかりの息子の泣き声。


あの秋のことを。 世界が揺れたあの日のことを。 私の人生が大きく動いたあの瞬間のことを。


ハロウィーンのオレンジ色の光を見るたびに、 私は静かに思い出す。


25年前の秋。 私が母になった季節のことを。

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秋の母親と赤ちゃん

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